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■BOX 1-3

Helmut Batista "1st Intervention Editional Book: Public Intervention" アーティスト・ブック 1991年 210×150mm ¥50,000-

街のあちらこちらにある、企業のメッセージをビジュアルに乗せて発信する巨大な立て看板や、地下鉄の駅構内に貼り出された広告など。それらはいわば「都市の空気」のような存在といえる。それらが基本的には「場違いなメッセージではない」ことを知っているからこそ、私たちは安心してそれを呼吸している。

たとえば、ベネトンの企業広告。1991年にウィーンの街中に貼り出されていたそれは、白から茶色、黒にいたるまでの様々な色合いの木製ピノキオ人形が整然と行進するという、ファッショナブルで少々ポリティカルな、いかにもベネトンらしいものだった。そこに、"UNITED COLORS OF BENETTON" のブランドロゴが存在するかぎりは。

しかしこの大型広告のベネトンロゴは、巧妙に上から貼り付けられたこんなキャッチコピーで覆い隠された。「機械的に行動するくらいなら、何もしない方がマシなことだってある」。ベネトンという"アイデンティティ"を失って無気味に宙に浮いたおもちゃのピノキオたちは、新しいコピーと結びついてまったく違ったメッセージを発してしまう。

ウィーン各所で、このようなアクションを匿名で大量に行なったのがブラジル人アーティスト、ヘルムート・バティスタである。本アーティスト・ブックでは、改竄された広告の「ビフォア/アフター」写真、貼り付けられたテキスト、行なわれた場所の記載などによってプロジェクトの全容を知ることができるほか、アーティストによるテキストも記載され、読み物としても楽しめる。否定形づくしで書かれた匿名バイオグラフィー(「ニューヨーク在住ではない。ドクメンタに作家として招待されていない。さまざまなアワードを受賞していない。多くの作品が美術館やコレクターによって買い上げられていない。」etc.)などもユニークな一冊。テキストは英語。