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オーナーのときどきダイアリー

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<期間限定:サマー・セール『20%オフ』>のご案内
2005/08/02

日頃、当ギャラリーの展覧会までご足労頂き、またホームページもご覧下さりありがとうございます。皆様へのご感謝の意を込めまして、「サマー・セール」を行ないます。

8月1日から31日の間、「セレクトショップ:4x4」掲載の商品を、全品表示価格から20%オフで、お求め頂けます!

「セレクトショップ:4x4」では、取扱作家および関連書籍やアーティストブックなどをご紹介して参りました。当初は取扱作家資料として作家や美術館から直接購入してきたものですから既に安いのは当たり前でしたが、ご関心をお持ち下さった方々へ感謝の気持ちでご紹介してきました。それでも、「この本を探していたんです!」「安いですね!」など、ご好評につき売り切れてしまう書籍等もあり、本当に嬉しい限りです。

そこで、HPでご紹介する「4x4」の16点に留まらず、近年とみに美術業界でも評価やお呼び声の高い作家のモノグラフ/展覧会カタログなどを追加して、期間限定特別セールを行ないますので、どうぞご覧の上、お求め下さいますようお願い致します。追加商品については、メールにてギャラリーまでお問い合わせ下さい。

御陰さまでHPの立ち上げ以来、多くの「メンバーシップ」登録下さりありがとうございます。今回は、メンバーシップ登録下さった方々には特別に、勿論今日からでも間に合いますよ、更に15%追加オフで合計35%オフで、ご紹介商品をお求めいただけますので、どうぞふるってご覧頂きこの機会を逃さないようにお願い致します。

猛暑の中、もくもくと制作に励んでおられる将来のスター作家さんや全代未聞の新機軸展覧会の企画を虎子眈々と狙っておいでのエマージング・キュレータの皆さん、そして将来価値含み資産特増実践中のコレクターや画商さん、方々皆様の厚いご関心の程、どうぞよろしくお願い致します。

早い者勝ち、売り切れ御免で申し訳ありませんが、今回、ご購入いただきました皆様にはもれなく、「2000年2月に行ないました『オラファー・エリアソン』展覧会カタログ」を差し上げます。
その上なんと、先着順10名様に限り、「4x4のBOX1-1でもご紹介しております『ヘルムート・バティスタ作品You do not need to pay, but you have to consume it』」を進呈差し上げます。

どうぞこの機会にふるって、お求め下さいますようご連絡のほどお願い申し上げます。

  

ビュレンとオラファー
2005/06/16

アートフォーラム誌に興味深い対談をみた。ダニエル・ビュレンとオラファー・エリアソンの二人によるもので、お互いの作品を比較参照しつつ美術館における制度/組織についても言及されている。

二人は年も親子程も違うが、空間を手懐けるというか使いこなすことにおいて抜きん出た技術と能力を発揮することに共通する特質がある。ビュレンは8.7cm幅のストライプを視覚的道具としながらも構築物を作ったり鏡の反射を用い、一方オラファーは光や水や風などを用いての、空間に対するアプローチは共に建築的で、且つその規準というか肝になるポイントを見つけるのが瞬時にして的確だと思う。そういう彼等だから、世界中の美術館で数多くの展覧会を行ないそこでの作品の在り方が斬新故に、年間に50-60もの展覧会オファーがひっきりなしにやってくるのも頷ける。

この対談では、そういった作品の在り方というよりもむしろ、行なわれる場所つまり美術館の制度/組織なり在り方の変化について、それぞれの考えなり態度が述べられていることが興味深い。日本でも地方美術館の建設ラッシュのときがあったそうだが、それと同様にか以上に世界中で新たな美術館が建っており、経済が好況なことを反映して、建設規模もまた展覧会予算も日本のそれとは桁違いなのではないだろうか。それ故に展覧会も非常にスペクタクルな見せ物になってきている。
かつて、美術館が大衆にアートを伝授するという社会民主主義的な態度から、美術館自体がアーティストと組んで自らをブランディングする傾向へ移行することで、美術館の制度/組織に対する批評が変質してきて新たな段階へすすんでいる、と二人は指摘する。

彼等の話を聞いていて考えることは、わが国日本の美術館の現状だ。まもなく管理者委託制度に移行するにあたり、最初のモデルケースが単なる貸し会場ビジネスにならないことを強く望む。美術館行政の法制度までは良く分からないのだが、世界の美術館状況とあたかも周回遅れで丁度トップ争いをしているような現状では、彼等のやり方を検討して知恵を拝借することも可能ではないかと思うのだが。

ビュレンとオラファーの対談は、現在準備中のオラファーの個展の際には、HPに参考資料として翻訳を掲載する予定にしている。

  

本日開店
2005/03/30

ようやくオープンしました。

コンテンツメニュー<セレクトショップ>から入るショップの名前は、「Box 4x4(ボックス・フォーバイフォー)」です。名前の通り、4連4段の16個のホワイトボックスをそれぞれのミニ・ギャラリーに見立てての、小品/書籍/マルチプルなどが、スタッフのお勧めコメントと共に顔を揃えます。

まずは第一弾として、ギャラリー取扱作家の、展覧会カタログ/アーティストブック/小品作品のご紹介からスタートします。市中の洋書店でも或はネット系ブックショップでもなかなか手に入らない貴重なカタログなどが並んでいます。もともとが作家のことをより良く知りたいと思って資料として入手してきたものですから、余り数が有りません。それに、現地でお求めになってもほぼ同じ価格設定です。というのも、作家と直接親密な関係が有っての特別入手ルートだからこそ可能になっています。いままで展覧会をご覧になっても今ひとつよく分からなかったという方々にとっても、これらの書籍をご覧になると「あぁ、なるほどそうだったのか!」と、目から鱗が落ちるように、難解と言われる作家のことも理解出来るようになるかもしれせんよ。

これからの展開をどうぞお楽しみに!

  

そろそろ始まります
2005/02/10

当ギャラリーのHPを普段ご覧いただいている皆さんは既にお気付きかもしれませんが、コンテンツの中で「洋書店」だけがまだ建設中のはずです。昨年迄はギャラリーでは実際に、批評/作家モノグラフ/展覧会カタログ/古書をメインにアンテナショップのような洋書店を展開していました。
今年からは装いも新たに、アーティストブック/小品作品と織りまぜて洋書販売コーナーを設けることにしました。4連x4段の16箱のホワイトボックスの中に、一作品ないしは一作家、或は関連書籍など、簡略ながらスタッフの思い入れ豊かな説明を添えて展示構成いたします。
それはあたかも16の独立したミニ・ホワイトスペースさながら、売り切れ御免で随時入れ替わります。今月のお奨め一冊とか今週のプレゼントコーナーなども予定しています。HPでも都度ご紹介していきますが、実際の展開が早すぎて追い付かない場合は御免下さい。展覧会をご覧いただいた折に少し手に取ってごらんになると、何か新たな発見に出会えるとよいと希っています。
近日開店、請うご期待!

  

現在準備中のこと
2005/01/29

新年第一弾の展覧会として現在準備佳境なのは、黒川弘毅展である。2月8日から3週間ずつの2会期に分けて、それぞれベンヌバード・シリーズとヘカテ・シリーズにフォーカスを当ててのものになる。いずれのシリーズも1980年代初頭の初期作品の中でも選り優ぐりの作品で構成することにした。サイズも大きくミュージアムピース級の素晴らしい作品だ。それぞれの作品がいつ、どこで、どのように展示されてきたのか文献資料を再度読み返すなどじっくりと作品とつき合ってみると、黒川弘毅という彫刻家としての堅固な造形意志と彫刻というものに対する造詣の深さにあらためて敬意の念が深まる。昨今の美術シーンでは決して華々しいスポットが当たっている訳ではない彫刻というジャンルを、再考するのにこの作家ほどうってつけの人はいないなぁと感慨深く思っている。それだけに、オールホワイトキューブのなかでどのように見えるのか今から非常にわくわくしている。私にはもう見えているのです。時を経てもなお変わらぬ魅力を発し続けている、いや時を経ることで尚一層深みを増すというべきか、この彫刻家の作品の魅力というものが。

以前、ダニエル・ビュレン自身と仕事を始めることになったその夜、彼はこう言った、「アートとは夜空に輝く星だ。その光が人の目に届くまで時間が掛かる。」と。彼の既に40年近くアートの最前線の現場を歩いてきた人ならではのこの言葉は、当時非常に深く私の心にしみいったことを覚えている。

今、黒川弘毅展の準備をしていて、このビュレンの言葉がまた去来するのです。

  

≪日本の美術批評のあり方≫について
2004/11/22

11/20日に東京国立近代美術館で行なわれた、美術評論家連盟50周年記念シンポジウム≪日本の美術批評のあり方≫を、聞きに行った。開催趣旨によると、「美術批評がこれからの世界でどのような役割を担うべきか、美術批評に何が可能なのか」討論し提案することが責務と書かれているうえに、プログラム内容が次のようなものなので、スタッフにギャラリーを頼んで出掛けたのであった。

シンポジウムプログラムは、下記の通り進行した。
1)針生一郎「戦後の美術批評を振り返る」
2)針生一郎、中原佑介、峯村敏明、千葉成夫「1968年ム1980年代『モノ派から冷戦終結まで』」
3)針生一郎、中原佑介、峯村敏明、南嶌宏、椹木野衣、岡崎乾二郎、光田由里、千葉成夫「1990年代以降『現在そして未来』」

美術評論家連盟設立50周年とはいえ、このような大上段に構えたテーマをこの人選で行なうなら少しは期待してみるのが、美術業界に生きるものなら当然かもしれない。私自身は、これらの方々がその時代に現場を歩き、見、語ってきた強者だからこそ、どのようなことを今現在において感じ考えているのか興味があったが、それと同等か以上に、「シンポジウムの始めに過去50年間の日本美術のスライド上映がある」という触れ込みによって、行くことを決心したのだった。というのも、この機会に一度戦後の日本美術を美術批評の側からおさらいしてみたかったからで、それにはどのような作品を下敷きとして論が組み立てられているかスライドが示していると踏んだからだ。

しかし、少しは予想していたからそれほど落胆はしなかったけれども、モノ派を軸として軽いジャブの繰り出しめいたものがあったものの、今迄何十年も同様にして獲得したかの熟練の漫才芸を見るようなもので論戦の新鮮さはなかったし、スライドも作家名と作品の記載があるだけで年代や作品名もなく、シンポジウムの論戦とも噛み合うような構成でもなく、どことなく作品選択に偏りがみられて残念だった。

唯一、岡崎氏の視点には興味をそそられた。昨今の美術館に並ぶ作品には、アジアの町並みそのものや布団を積み上げて空間構成するなど、外部の環境や構造をそのまま美術館という制度構造に持ち込んで展覧会構成するところが、かつてのモノ派との類似点が多い、と岡崎氏は述べていた。それを聞いて私はやっぱり昔も今も変わらないのだなぁと思った。かつて「具体」と「モノ派」が欧米で理解されやすかった一種のイズムめいた運動のようなものであったことや、昨今の日本の若手作家で欧米で関心度が高い作家のことを考えると、頷ける点がいくつもある。それに、最近の欧米の注目される若手絵画作品には、日本の50-60年代の絵画作品にみる表現と何となく共通する雰囲気があるから、そういう類似の視点から日本の絵画も再評価の逆輸入が起こるかもしれないと感じた。

私が常々物足りなく感じていることは、戦後日本の美術の正史がないということだ。大規模な展覧会を期待しないまでも、せめて、美術批評のアンソロジーが、それも日英のバイリンガルであったら何と有効なことかと思っている。50-60年代は針生一郎/中原佑介監修、70年代は峯村敏明/藤枝晃雄監修、80年代は本江邦夫/建畠晢監修、90年代は椹木野衣/長谷川祐子監修で、福住治夫編集で4冊本で出版、というのはいかがなものだろうか。出来れば現場で見聞した人々が元気なうちに早く取りかかってもらいたい。それに伴って、刊行毎に全国の美術館を3館程のべ12館も巡回すれば、多くの人々が日本の美術に明るくなる。そのダイジェスト展を世界に4館程巡回すれば、更に日本の文化輸出にも貢献出来る。現実に刊行されるや、全国の美術館や図書館や大学などの研究機関や新聞出版社などはもとより、世界中の美術関係者にも広く求められることになろう。こういうことは実に夢大きく実りあることだと思う。21世紀へ向けて継承するためにも、美術評論家連盟50周年記念事業として急ぎ立ち上げられてはいかがであろうか。

  

美術品投資
2004/10/26

10月17日付の日経新聞の資産運用欄に美術品投資の記事が載っていた。見出しをつなげると「版画にみる美術品投資は年利4%程に、余裕資金で長期運用を」ということだ。記事は基本的に版画が金額も低く初心者には取っ付きやすいという視点から構成されている。近年のインターネットによる株式投資ブームやReitなどの不動産投信の活況を背景として、バブル期にも盛んになった美術品投資の近況はどうなのかという観点なのだろう。

私が美術業界に身を投じたのは1988年、バブル絶頂を目前とした頃だった。その当時は美術史を学んでいた学生で、投資とは全く関係ないところから画廊というものに興味を持っていたので、どんどん絵が売れていったりするのを目の当たりにして、実に世間知らずというか短絡的に、そういうものが美術業界の普通の光景のように思っていた。間もなくバブルははじけ作品はだんだんと売れなくなり、ブローキングを主とする業者は徐々にいなくなっていった。当時、美術品担保融資など銀行も取り扱っていたが、バブル以後担保物件となった作品の一部は昨今の好況に沸く欧米へと出戻っていたが、まだその多くは評価割れのまま金融機関の倉庫に眠っていると聞く。

その記事では年利4%が美術品投資では可能と読めてしまうが、このところの欧米の好景気を背景にプライマリーマーケットとセカンダリーマーケットを上手く組み合わせて4-5年スパンで考えれば、年利30%は可能かと思う。すると私はすごく金持ちになったと思われてしまうが、現実は良い作品から売れていき結局は手元に残らず、それらの含み資産はお客さんのところで現在熟成中である。そういったお客さんの中にはわらしべ長者のように複利運用で膨らんでいる人もいる。

また、記事では初心者は版画から始めるのが良いとある。私の感覚では、版画は単価が低く買いやすいかもしれないが、複製品である性格と紙という素材から日焼けなどコンディションにもバラツキが出来やすく、いざ値が高くなっても売りに出ているものが多数あって、結局はなかなか売り難いものではないだろうかと思う。記事中の長野県のAさんは、長年版画収集に熱心でその道のプロの方だと拝察します。その方のように版画というメディアが特別に好きであるとか数多く収集したいというのでもなければ、初心者は1点ものの絵画が一番適しているかもしれない。絵画といっても現代アートの若手作家ならばマーケットは世界規模に広く、始めは安値で買うことが出来るからだ。美術品は金融商品としては、株式や商品のように信用取引や先物売買といった成熟した機構や技術が備わっていないが、そのかわり見て得られる豊かさと永続する価値生命の長さは比較にならない。美術品投資で金持ちになりたいと聞かされると少し興ざめしてしまうが、いずれにせよ良い作品や作家と巡り会うことが何よりも肝要だ。これには、良い作品を早く見出す眼力と状況を見透す情報力が必要になるのはいうまでもない。

  

展示空間というもの-4
2004/10/12

「ものの素が見える」ということは、ある意味で結構こわいことだ。良いものは限りなく良く見えて輝く。一方で作品の弱いところもはっきりと見えてしまう。別の場所で「あぁ良い作品だなぁ」と感動して見えたものが、改めてこの展示空間の中でひとり見てみると「どうしたものだろうか」と味気なく思えてがっかりすることもしばしばある。

ギャラリーの多くは、壁を白くして作品そのものがよく見えるようにするのが常識化している。壁が白でガランとした空間は住環境からすると非日常的だが、そういってもギャラリーの個性がそれぞれ反映されていて、床がぴかぴかのフローリングで高級感があったり、柔らかな自然光が入って納屋のように侘び寂びていたり、分厚い絨毯にスポットライト照明でクラシカルなゴージャス感があったりと、それぞれの空間に雰囲気が備わっている。
そういう雰囲気を取り込んで作品は展示される。つまり展示そのものは作品の一部となっているのだ。だから属性のないところで作品だけを見ると、その身に纏った雰囲気や物語といったものが剥ぎ取られ、作品の視覚造形の素が見えてくる。

このオール・ホワイトの展示空間は、非日常の極みなのだ。幾つもの作品を一緒に展示しなければならないとき、それ故にか、「強きは弱きを助け、弱きは自らの良さを最大限伸ばす」ことを可能にする展示技術が必要になる。そのあたりの匙加減が幾通りもあって、展示空間と展示というもの、実に奥深いものがある。

(了)

  

展示空間というもの-3
2004/10/09

ギャラリーの展示空間には、そのギャラリーの好みや目指すところといった思想があらわれる。場所自体の雰囲気や照明演出などで作品を見せるのではなく、作品を素のまま見せることを主眼において、このようなサイズの展示空間を作ってみた。こうして出来上がった展示空間は、オールドなビル外観と対照的に一歩室内に入るとホワイトアウトしてしまうような、一種宇宙的な雰囲気のするものになった。設計当初は、物理的な小ささを感じないようになるのではと考え、敢えて床を白にすることを選んだが、ここまでの効果があるとは予想していなかった。

展覧会をする作家たちがこのギャラリー空間のことを、マリア・アイヒホルンは「extremely artificial」と称し、ダニエル・ビュレンは「Zen Gallery」と言っていたし、ジョセフ・グリッグリーは「これから多くの素晴らしい展覧会がここで行なわれることだろう。なぜならこの場所は非常に魅力的で可能性がある。」と述べたように、この空間は作家たちに何らかのインスピレーションを与えるものなのだろう。
事実、作家たちはこの展示空間を生かした各々独自の作品を展示していた。マリア・アイヒホルンの「カーテン(イエロー)」という作品、展示壁の天地左右全体をぴったり覆うように指定の布地で作ったもの、を展示した時、単なる黄色いカーテンがこれほどまでに美しく彫刻的に見えたことはなかった。ダニエル・ビュレンは「世界で一番小さいギャラリーを、世界で一番大きなギャラリーにしてみた。」と言って、向い合せの鏡張りの部屋を作り無限大に拡大する廊下のような空間を現出させ、その中を8.7cm幅のストライプが永遠に走っていた。ジョセフ・グリッグリーは、180x120cmの大紙面にびっしり三色で刷られた細かい文字の作品を一点だけ真中に展示した。耳の聞こえない彼にしてみれば、あたかも三人でなされた会話が室内を埋め尽くしている、というものなのだろう。視覚的には静寂の中、一点作品が語りかけてくる緊張感。それぞれの展覧会はまるで印象が異なるものの、いずれもハードで力強い作品だ。ちょうど、大きさからすれば8帖程の部屋全体がそのまま作品となっている感じなのだ。

マリア・アイヒホルン:http://www.masatakahayakawa.co.jp/archive/20021113_j.html
ダニエル・ビュレン:http://www.masatakahayakawa.co.jp/archive/20030701_j.html
ジョセフ・グリッグリー:http://www.masatakahayakawa.co.jp/archive/20031209_j.html

(つづく)

  

展示空間というもの-2
2004/10/08

以前、恵比寿にあったギャラリーの展示空間は、6(W)x6(D)x2.8(H)mだった。現在は、面積比で60%マイナス、容積比で57%マイナスになった。同じくらいのサイズの小さいギャラリーでは、ロンドンのホワイトキューブが有名だ。私は実際には訪れたことがなかったが、最近出版された同ギャラリーの活動歴本をみると、なるほど床はフローリングで反射照明の吊り天井になっていること以外サイズ的にはほぼ同じだったようだ。それにしてもそれぞれのギャラリー空間のイメージは全く異なっている。

当ギャラリーの壁は、オリジナル建築の太く特徴的な梁を隠すように四面ともベニヤ板で新設し、その上に目の細かい布張りを施し、布目を潰すように大日本塗料の水性アクリル塗料ハイライト500番で、均質に塗られている。天井には、演色効果AAAの色温度5,500K昼白色蛍光灯を8本ロの字型に組んで、展示空間に均質な照度を提供している。床は、ABC商会のケミクリートで、壁や天井の白と同じつや消しのエポキシ樹脂で均質に塗り固められている。この床材は、南青山にある旅行鞄メーカーのグローブトロッターなどのブティックにも使われているところからもうかがえるように、白だと汚れが気になるところだが実際はメンテナンス性の良さも相まって商品そのものを見せるのに適した素材だと思う。

(つづく)

  

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