日本語 展覧会 取扱作家 最新情報 メンバーシップ お問い合せ セレクトショップ ギャラリー案内
ENGLISH EXHIBITION ARTIST NEWS MEMBERSHIP MAIL BOOKS/PIECES ABOUT US

オーナーのときどきダイアリー

menu前ページTOPページ次ページspace.gifHOMEページ


展示空間というもの-1
2004/10/07

既に一度でも展覧会をご覧に当ギャラリーへ足を運ばれた方はご存じの通り、展示空間は、4(W)x3.6(D)x3(H)mの壁、天井から床までが同一白色の文字通りオール・ホワイトキューブである。

以前の恵比寿から移転するにあたり、東京以外から見に来られる多くの方々にもより利便性の高い地域はどこだろうと考え、東京駅から近い場所ということで金融証券の中心街である茅場町の、良い雰囲気のビルに場所を得た。ホームページのMAPに外観風景を載せてあるが、川沿いに建つ実に趣きのある立派なビルである。
関東大震災の教訓を生かして建てられたと聞いている通り、大きさに比べて立派な梁が特徴な昭和初期竣工のビルだ。私はこのビルのことを、ヴェニスにあるような1Fは舟からも入れるイタリアンやフレンチレストランで、上階は質の高い美術作品がさり気なく設えてあるようなアートホテルにコンバージョンするのにぴったりだなぁと思っている。

(つづく)

  

展示ということ-3
2004/10/05

自分の画廊で新たに仕事を共にすることになった作家たちの多くは、欧米の作家で、彼等との展覧会をするということ自体は、それまで自分が思い描いてきた展覧会とは、かなり趣きを異にするものであった。単に制作した作品を展示空間に体よく配置するというものではなく、展示空間そのものの特質から展覧会そのものが、因って成り立つあらゆる条件を勘案したもので組み上げられていくというものだったからである。それによって展示そのものは、おのずと必然的なものにならざるを得ない。展示する前からすべての位置や配置が殆ど決まっているという風である。

展覧会をするにも数々のやり取りを重ね数年越しで出来上がることもあり、展示された空間は、毎回全く異なった雰囲気をもった独自のものが現出する。展示空間の中で最も適した位置を見つけて配置するミニマルな手法から、展示空間そのものを作品に適合するように手を入れて全く変えてしまうマキシマムな手法まで、作家と作品によってそれは千差万別だ。見に来られるひとにはその辺りの背景も含めて展示そのものの醍醐味を是非とも味わってもらいたいと思い、毎回展覧会を行っている。

(了)

  

展示ということ-2
2004/10/04

佐谷画廊を辞める頃には、ある程度の自信を持って展示が出来るようになりひとり得意になっていたが、その自惚れから目覚めさせ、一からたたき直してくれたのは、やはり自分の画廊で一緒に展覧会をするようになった新たな作家たちであったし、また、私が師匠と呼ぶかんらん舎の大谷氏の展示技術の伝授によるところが大きい。作品を展示するにあたり、作品自体の深い理解は言うに及ばず、置かれる空間やそれを取り巻く社会的政治的経済的なあらゆる状況から導き出される必然性に因っていなければならない。「このあたりがいいか」と裏付けのない適当な感覚などでするから、壁にはやり直しの釘穴が多く開き、壁がニキビ面のようにキタナクなってしまう。「壁や床の垂直水平を信じてはいけない」と、作品位置を決めるのに水平器を使うことを教えられたのも大谷氏からだった。

一発で作品の展示位置を決められれば壁はいつもすっきりと美しい。展示空間全体もキリリと引き締まり凛としてくるものだ。画廊にとって壁や床や天井は商売道具なのだから、いつもその道具の取扱いとメンテナンスを疎かにしてはならない。展覧会の度に毎回壁を白く塗り直し床をきれいにするのは、寿司屋が毎日檜の一枚天板を磨き粉できれいにするのと同様、当然のことと思う。こうして展覧会の場数を踏むことで、展示の上手下手というのはその技術力の質の高低なのだと身をもって感じた。

(つづく)

  

展示ということ-1
2004/10/02

仕事上、画廊や美術館などいろいろな展覧会を見るが、その時に職業柄どうしても気になってしまうものに、展示ということがある。展覧会なのだから様々な作品が展示されており、個々の作品の良し悪しを注意して見るのは当然だが、それと同時にそれらの作品がどのように展示されているか、その在り方について特に気になってしまう。例えば、照明機具からはじまり壁や床の色や素材、作品の位置や配置といったことから、展覧会の意図や展示する人の思惑などを見て考えるのである。

以前勤めていた佐谷画廊では「展示が出来るようになったら一人前」とよく言われた。それまで美術品など触ったこともない学生に、高額な作品から様々な形態の作品までよく展示させてくれたものだ。どのように展示するのが良いのか全く分からない私は、画廊主の言うまま、或は個展作家の手足となって見様見真似で覚えていくしかなかった。とりわけ個展の準備のときは作家が自ら指示するので、「この作品はこういった風に見せると良いのか」などと全てが新鮮で非常に勉強になった記憶がある。

その後、独立し自らの画廊を立ち上げてからも一番勉強になったのは、やはり作家の個展の準備を一緒にすることだった。それは今でも変わらず、今後もいろいろな作家と仕事をすることで一生学んでいくことになると思う。つまりは一人前といっても、そこにはさまざまなグレードがあるということなのだ。

(つづく)

  

menu前ページTOPページ次ページspace.gifHOMEページ
© 2004 Masataka Hayakawa Gallery. All rights reserved / Designed by Akira Katagiri / Constructed by IF. Co. Ltd.
Inoue 2 Bldg. 4F, 2-17-13, Nihonbashi-Kayabacho, Chuo-ku, Tokyo 103-0025 / Tel: 03-5649-6396 Fax: 03-5649-6399